曲突徙薪(きょくとつししん)第7号
中小事業者のデフォルト状況 〜2023年6月までの最新データ〜
企業倒産の状況
東京商工リサーチ(TSR)は、7月10日に6月の倒産件数を公表しています。6月単月での倒産件数は770件(前年同月比+41.0%)、直近12か月の累計は7,410件となりました。前の月に比べて増えているのは2022年4月から15か月連続で、コロナ禍前の年8,000件超の水準に向かって着実に倒産が増えています。倒産企業の負債総額は1,509億円で、4か月連続で1,000億円の大台を超えました。今月は負債総額100億円以上の企業の倒産は1件(先月は3件)だけなので、大口倒産が金額を押し上げたというよりは、10億円単位の中堅規模の企業の倒産が増えた可能性が考えられます。倒産の大半が信用力に劣る中小・零細企業によるものというこれまでのトレンドが変わりつつあるのか、今後の数字に注目です。
現在のペースで倒産が増加すると、早ければ今年の9月にもコロナ禍前の水準である年間8,000件台に到達します。そこを平常時の水準として、さらに件数が増えるかどうかが、国内事業会社の経営環境の良し悪しを判断する一つの目安になるものと思います。また先ほど述べた通り、倒産する企業が零細よりも少し規模の大きいゾーンに広がると、金融機関の融資行動にも具体的な影響が及んでくる可能性があります。
信用保証協会による代位弁済の状況
全国信用保証協会連合会は、5月の保証承諾と代位弁済にかかる数値を公表しています。5月の新規保証承諾金額は7250億円(前年同月比+39.3%)となりました。コロナ禍以前との比較では2013年以来の7000億円台に乗せており、足元では、ゼロゼロ融資の借り換えも含めて、中小零細企業向けの協保付き融資が活発に利用されているようです。
保証承諾件数と代位弁済件数から推定した代位弁済率は、5月が0.87%となりました。上昇は21か月連続です。緩やかな上昇ペースではありますが、2023年度全体ではコロナ禍前の1.2%水準まで戻るのは、ほぼ間違いないと見ています。
米国の企業倒産の状況
米国ではABI(American Bankruptcy Institute)が、調査会社Epiq Bankruptcy社の調査結果をもとに、6月の倒産件数を速報しています。日本の民事再生法に相当する破産法11条(Chapter11)の適用件数は404件(前年同月比+8.9%)となりました。直近12か月間の累積は5,108件で、こちらは14か月連続の増加です。
コロナ禍の前の水準を見ると、平常時の倒産件数は5,000〜6,000件の間を横ばいで推移することが多いようです。今後はこのレンジにとどまるのか、そこを大きく超えることになるのかが注目されますが、空前のペースで引き上げられた政策金利もいよいよ水平飛行に入るタイミングが見えてきており、倒産件数もこれに合わせて落ち着いてくるものと見ています。
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