曲突徙薪(きょくとつししん)創刊号
2023年1月26日発行
今月のもくじ
- Webマガジンはじめます!
- 中小事業者のデフォルト状況(〜2022年12月)
- 気になるアイツ 〜チャットGPT〜
- あとがき
Webマガジンはじめます!
銀行の信用リスクを専門とするデータベース会社を離れて、かれこれ2年以上が経ちました。その後も縁あって、銀行業界で仕事をさせていただいておりますが、リスク管理よりも、営業企画やデジタル戦略といった、どちらかと言えば「守りよりも攻め」の業務に関わる時間が圧倒的に長く、信用リスクやデフォルト(債務不履行)にかかる分析とは、少々距離を置いて今に至っております。
一方で、銀行の国内営業を支える第一の基盤は今なお法人融資業務であり、とりわけ地域金融機関にとって中小・零細企業向け取引は、めぐりめぐって個人営業の基盤構築にも多大な役割を果たしています(銀行の個人顧客とは結局のところ、給与振込口座を有する個人以外、取引機会を広げる場面は極めて限定的です。この話はまた別の機会にでも。。。)。攻めの戦略を考える今の立場でも、銀行の法人融資の動向、とりわけデフォルト発生の状況については、できる限りアンテナを張って、実態把握に務めるようにしています。
データベース会社というデータのオーナーの立場を離れて、デフォルトに関するデータを追いかけてみると、あらためて新たに気づくところがありました。一つは、国内、そして海外についても、デフォルト動向を示す多くの公開データがあり、外部の立場からも、まずまずの即時性をもって一次データにアクセスできる環境が整っていることです。そしてもう一つは、デフォルト動向を示すさまざまなデータについて、その動向を個別に論じる記事は数多く目にするものの、複数のデータを統合的に解釈して、国内企業のデフォルトや倒産の現状と行く末を客観的・定量的に論じるメディアは、少なくとも国内にはほとんど存在しないことです。
会社を設立した当初から、何らかの形で情報発信することを頭に置いていながら、目の前の仕事や、題材不足を自分に対する言い訳にして、ずっと先延ばしにしていました。跳ねる卯年に歳男を迎えるこのタイミングに、日本の中小企業のデフォルト・倒産動向をウォッチするレポートを、まずはWebマガジンの形で発信していくことに決めました。会社設立のごあいさつでも同じことを書いていますが、これまで育てていただいた日本の金融機関、そしてそのお客さまでもあるすべての事業者のみなさまにとっても、少しでも役に立つレポートになれば、これに勝る喜びはありません。
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