曲突徙薪(きょくとつししん)第8号
2023年8月15日発行
ビッグモーター社の問題が、連日のようにマスコミをにぎわせています。一見すると保険会社が被害者に見えるこの問題、翌年度以降の保険料を引き上げられる保険会社には大きなロスがありません。真の被害者は、水増しされた修理代金が理由で保険料を引き上げる車両の所有者です。また、一般のドライバーの料率に影響していた可能性もあります。かくして、ワイドショーをはじめとする報道が過熱する一方で、私は、この問題の背後にある構造的な要因を指摘する声がほとんど聞かれないことに、薄気味悪さを感じています。
保険会社にとってビッグモーターをはじめとする自動車修理業者は、保険金の支払先として請求内容を厳正に審査すべき対象であるとともに、保険契約の営業を委託する「頭の上がらない」相手でもあります。保険会社が営業成績を優先すれば、保険金支払いにおける公正な審査姿勢が歪められる可能性があることは誰でも容易に想像できるのですが、損害保険においては、この「利益相反」を誘発する仕組みが堂々とまかり通っています。
この仕組みが温存される限り、同じ問題が繰り返されるように思えてなりません。自動車修理業界や保険業界のみならず、規制当局にも真剣な対応が求められています。
(PDF版はこちらです)
今月のもくじ
【今月のテーマ】
GPTを理解する ~大規模言語モデル(LLM)とは?~
【中小事業者のデフォルト状況】
2023年7月までの最新データ
【あとがき】
西九州新幹線とリニア中央新幹線
(Photo by Emmanuel Appiah at Unsplash)
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